☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会 第1回-①

今回から、2021年9月28日に開催された「☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会 第1回」の模様を3回に分けてお届けします!この企画は、長期入院の付き添い経験がある方にご参加いただき、座談会を行うものです。1回目となる今回のメインテーマは、子供の病気がわかったときの状況や、病院選びの難しさについてのお話です。

目次

今回の参加者

・石井 薫(かおる)さん

子供が2歳半のとき左腎明細胞肉腫になり、抗がん剤治療 ・摘出手術・放射線治療を経験
大阪市立総合医療センターに8カ月入院

・赤坂 絵里(えり)さん

子供が4歳のとき横紋筋肉腫(腹部)になり、陽子線と化学療法を経験
主な入院先と期間:
CTの撮れるこども病院 1日
関西医科大学 1カ月弱
大阪市立総合医療センター 約2カ月
兵庫県立こども病院(隣接する神戸陽子線センター) 約2カ月
大阪市立総合医療センター 約6カ月

・麻紀(まき)さん

子供が4歳のとき急性リンパ性白血病になり、大阪市内の病院に5カ月入院。
退院後も在宅服薬治療(抗がん剤2種類、ステロイド治療)と通院抗がん剤点滴治療(月に1回抗がん剤治療室にて)を経験

今回のおやつ

リモートで行われるこの座談会では、孤独な食事が多かった付き添いの食事を経験したからこそ『みんなと一緒』を味わい楽しみながらリラックスしてお話しを!という思いで、毎回事務局がお茶菓子を手配します。

今回のおやつはこちら!

美容食品の専門店「タマチャンショップ」の「そらまめっち(そら豆チップス)」というお菓子です。こちらのショップには健康的な商品が多いので、入院中の方にオススメできるのではという思いでチョイスしてみました!

突然やってきた「子供の病気」、どんな状況だった?

かおるさん

最初は風邪症状で病院を受診していました。お腹がとても大きくなっていて「風邪症状は二の次」ということになり、かかりつけの小児科→地元の病院→専門の病院でいろんな検査をしました。検査のたびに結果を聞いて倒れそうになる…を繰り返しながら、病名がわかるまで2週間。わけがわからないまま、治療が始まりました。

えりさん

子供の病気がわかったのは、ちょうどクリスマスの時期でした。元気で熱もないけど、お腹が大きくなっていたことが気になり病院を受診。年末の休みで長期入院が必要と言われました。当時私は仕事をしていたのですが、年明けから仕事に行けなくなることになり頭が真っ白に!私は退職しましたが、入院されているママの中には仕事をしながら付き添われている人もいました。

まきさん

私は夫婦ふたりで自営業をしています。普段子供は保育園に週6日通っていて、帰宅後は慌ただしく過ごし、子供が寝た後もまた仕事をするような毎日。病気を告知されたとき、「私の代わりがいない!」という大きな焦りがありました。パパは「仕事のことは俺が何とかする」と言ってくれましたが、それでも引継ぎは大変で、子供の治療中も頭のどこかで仕事のことを考えていました。肝心の子供はというと、いつもママがいてくれてうれしい!という様子で…。普段、寂しい思いをさせていたのかなという反省と、これから辛い治療が始まるのに、私と一緒にいられることがうれしそうで、見ていて逆に辛い…という複雑な思いでした。

みなさん、病名を告知されるとびっくりしますよね。私は小児科病棟で保育士をしていた経験があったので、これからどんな治療が待っているのかを知っていました。だからこそ、告知された日はたっぷり寝ました!「こんな日に、こんなに寝られたから大丈夫!」という自信にもつながりましたね。

えりさん

すごい!私はずっと携帯でいろんなことを検索していました。

かおるさん

子供の治療はママの体力勝負でもあるし、まずは寝るべし!ですね。

病院によっていろんな違いがある

えりさん

何度か転院を経験しましたが、病院によってルールや環境が全然違って大変でした。

まきさん

小児科病棟の保育士だったとき、転院されてくる親子も多くいました。付き添いの時間やトイレ、洗面所の使い方など、違いがたくさんありますよね。

えりさん

まずは、転院するのには勇気がいります。

最初に行ったこども病院から転院するとき、先生から「どこの病院がいい?」って聞かれたんですけど、突然のことで何もわからないから「治るところでお願いします!」と言ったら系列の大学病院に転院することになりました。

でもフタを開けてみれば、大学病院よりも自宅近くにある大阪市立総合医療センターの方が拠点病院だったんです。それを知ったのも、たまたま隣の家の人が小児科の先生で、偶然会ったときに相談できたという、幸運が重なったから。それで、拠点病院に移れることになったんですが、今度は「転院すると、これまで良くしてくれた大学病院の先生を裏切ることになるのではないか?」という葛藤が生まれました。「転院」という言葉をなかなか口にできない雰囲気もあって、本当に勇気が必要でした。

いざ転院してみると、治療方法が全然違うことに驚きましたが、自宅とのアクセスはよくなったので転院してよかったと思います。治療で悩まれている方には、「ほかにもいい病院があるかもしれない」という可能性を知ってほしいと思います。

そこから、陽子線(※1)の治療で神戸陽子線センターに転院したときは、また違った環境がありました。転院前は「子供が食べられるものを食べさせてあげてください!」ということで食べ物の持ち込みはOKだったのですが、転院後は持ち込みNG。お風呂は30分で食事の時間も決まっていました。治療で毎日全身麻酔をするのですが、その影響で起きられなかったりすると、1日1食、食パン一口食べられるかどうか…という状況になることもありました。なんとかエネルギー源になるものをあげたくて点滴はできますか?と聞いても、それは保険適用外でできませんと…痩せていく子供を見ているしかなかったときは辛かったです。

(※1)陽子線:放射線治療の一種

何もわからない状態で迫られる「病院選び」

まきさん

病院を選ぶとき、とにかく時間がないですよね。私も告知されたとき、自分が働いていた病院に入院したかったけどできませんでした。すぐにでもカテーテル(※2)を入れなければならない切迫した状況だったし、カテーテルが入ったら転院は難しいんじゃないか?という思いもありました。病名がわかった時点ではみんな情報もないし、病院を選ぶことは難しいですよね。

(※2)カテーテル:皮膚の中に器具を埋め込み点滴や薬を投与したり、採血をしたりすること

えりさん

そうですね。それぞれの病院で得意分野が違うし、私も隣の家の人との縁がなければ転院できなかったかもしれません。

転院当日に「髄液検査(※3)、カテーテル、手術、全部しましょう!」と言われたけど、こちらは「カテーテルって何?それしないといけないの?」という状態。さらに、1~2時間の間に書類も全部用意してたくさんサインしなければいけないし。今思えば、髄液検査もカテーテルも手術もしておいてよかったと思えるけど、そのときは知識もないし大変でした。

(※3)髄液検査:髄液を採ってがん細胞がいないか調べる検査

かおるさん

私は転院の経験がなくて1つの病院しか知らないけど、ストレスのない環境でした。「ベッドが硬いな~」と思ってたけど(笑)、それすら申し訳ぐらい恵まれていました!

朝起きたときから、看護師さんが「楽しいことがはじまるよ!」と子供を笑わせようとしてくれるんです。1人1人に寄り添ってくれる環境があって、本当に感謝しています。夜間におむつを替えるときも、看護師さんは「いかに子供を起こさずおむつを替えるか!」に命をかけてくれるんです!家族とのコミュニケーションもたくさんとってくれて、救われていました。

まきさん

私の場合、自分の部屋とリハビリ室以外は出入りNGでした。プレイルームにも行けなくて他の子との関わりもほぼなかったからこそ、先生や看護師さんとのやりとりに救われていました。看護助手さんや清掃のスタッフさんもとてもいい人で…その病院内でどれだけ人と関われるかが、入院中の居心地を大きく左右すると思います。

かおるさん

情報交換という意味合いもあるし、コミュニケーションって本当に大事ですよね。

ちょっとこぼれ話「その頭、とってもかわいい♡」

かおるさん

院内をお散歩してたら、闘病中の子供たちに会えるんですが、みんなかわいくてほっこりしてました。でも、その感覚で病院の外に出ると、話がかみ合わないこともしばしば。「子供が病気」というだけで、相手に泣かれてしまったり、「大丈夫!」と言ってもわかってもらえなかったりと、私たちにしかわからない感情がありますね。

えりさん

今まで遊んでた近所のママ友も、やっぱりちょっと違うと感じることもあります。

まきさん

だから、最初の頃は子供の病気のことを言えなかったですね。元気になってから言おうと思ってたんです。

かおるさん

でも、抗がん剤の副作用で髪が抜けるから、隠せなくなりますよね。

まきさん

髪が抜ける時はすごく悲しかったけど、生えてきたときにとてもかわいいですよね!なんともいえないかわいさ!ちょっと人にはわからないかもしれないけど、私たちにはわかるかわいさがありますよね♡

髪が抜けたとき、うちの子は4歳で色々わかる年頃でした。それでもいろんな人に「抜けてもかわいい!かわいい髪の毛が生えてくるよ!」と言われると、素直に受け入れて「プリキュアみたいなむらさきの髪の毛がいい!」と髪が生えてくるのを楽しみにしていました。

こんな話が笑いながらできるのは、経験がある人だからこそ。あの愛おしさは、味わいたかったわけではないけど、味わえた今となっては深い意味があるなと感じます。

次回予告

☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会 第1回-②では、付き添い入院中の食事のこと、お部屋や設備、入院にかかるお金のことなどについて話したことをご紹介する予定です!

☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会への参加者も募集中です!

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『付き添い家族の知恵袋 web座談会』の活動は

・日本コープ生活協同組合連合会様の「地域ささえあい助成」

・公益財団法人コープともしびボランティア振興財団様幹事に兵庫県の企業12社様よりこご支援いただく「やさしさにありがとうひょうごプロジェクト」にて実現に向けての資金のご提供をいただきました。

次のお話はこちら(第1回-②)

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