BONBONCANDYにじいろじかんでは、長期の付き添い入院を経験した家族を対象にweb座談会を開催しています。このブログでは、2022年1月にLINEで行った「☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会 第6回」の模様を3回に分けてお届けしています。1回目となる今回のメインテーマは、「座談会を通して感じたこと」「闘病が終わった今、付き添い経験を話すことで改めて感じたこと」についてです。
第5回目の座談会の様子はこちらから
第5回-①
第5回-②
第5回-③
今回の参加者
・Mさん
子供が2歳のときにIGA血管炎になり、それが原因で紫斑病性腎炎を発病。
5カ月間の入院後、免疫抑制剤(ネオーラル)とステロイドの在宅服薬治療を経験し、現在は経過観察中。
子供の入院中に、自身の妊娠・出産も経験。
まきさんとは、同じ病院に入院していたことをきっかけに出会った。
・石井 薫(かおる)さん
子供が2歳半のとき左腎明細胞肉腫になり、抗がん剤治療 ・摘出手術・放射線治療を経験
大阪市立総合医療センターに8カ月入院
・麻紀(まき)さん
子供が4歳のとき急性リンパ性白血病になり、大阪市内の病院に5カ月入院。
退院後も在宅服薬治療(抗がん剤2種類、ステロイド治療)と通院抗がん剤点滴治療(月に1回抗がん剤治療室にて)を経験
今回のおやつ
リモートで行われるこの座談会では、孤独な食事が多かった付き添いの食事を経験したからこそ『みんなと一緒』を味わい楽しみながらリラックスしてお話しを!という思いで、毎回事務局がお茶菓子を手配します。
今回のおやつはこちら!
バレンタインも間近ということで、今回のおやつはチョコレートにしました!
質問:座談会を通して感じたことは?
Mさんの場合
私の子供はIGA血管炎と紫斑病性腎炎という難病指定の病気でした。正直、初めに座談会のお話をいただいたときは参加するか悩みました。参加される方の多くが命をおびやかす大変な病気な方なのだろうという先入観があったからです。
それでも勇気を出して参加してみて思ったのは、病気や治療内容の違いがあっても付き添い入院や退院後の苦労や精神的なしんどさは一緒なんだということ。なによりも共感しあえたのがよかったです。
座談会を通して、当時の状況を話すのが辛いなと思うこともありましたが、話すことによって少し心の整理がついたように思います。
◎boncanコメント
治療中はなかなか共有できなかった思いを共有できる場として、座談会が機能したことはboncanにとっても大変うれしいことです。闘病生活のことを振り返り、発信することは勇気のいることですが、Mさんのお話に救われた方もきっと多くいると思います。参加していただき、本当にありがとうございました!
かおるさんの場合
参加者のみなさんの貴重なお話を聞かせてもらい、涙しなかった回は一度もなかったです。副作用に、お薬を飲む努力に、楽しく過ごすための涙ぐましい努力に、涙が溢れることも多く、皆さんの愛の大きさ、心の温かさには学びがたくさんありました。
また、座談会は心を解放できる時間でもありました。私自身が改めて息子の治療の経緯やそのときの感情を話すことで心の整理ができ、「私こんなに辛かったよーー!でもがんばったんだよー!!」と大きな声で言わせてくれたこの場所に感謝の気持ちでいっぱいです。
◎boncanコメント
子供中心の生活を送っていると、お母さんは自分を褒めることを忘れてしまいがちですよね。でも、子供の闘病生活は、お母さんのがんばりで成り立っているのも事実。座談会を通してかおるさんが自分自身をねぎらえたと聞いて、boncanとしてもうれしい限りです!
まきさんの場合
いろんな方々の闘病生活のお話を聞かせていただく中で、初めて知ること、気づきなどもたくさんありました。たくさんの学びの中で強く印象に残ったのは、母が子供を想う気持ちでした。
そして病院や保育園、幼稚園や子どもホスピスなどのサポートを提供してくださっている方々からは、「いつ何時も、どうにか最善をつくしてあげたい」という強い気持ちや行動力を感じました。私たちはそんな強い思いを力にして、たくさんのことを乗り越えてこられました。
制限のある生活をいかに有意義に過ごすか、という議題では、皆さんが真剣に向き合った貴重な体験談を聞くことができました。心を動かされると同時に、課題も多く残されているという現実も知りました。
子供達の闘病生活でもっと改善されて欲しい点や、付き添い家族の負担を減らしたい点もたくさん見受けられました。更にコロナ禍ではそもそも付き添いさえできない、面会もできない状況があることも知りました。一刻も早く治療に専念できる環境が整い、家族とともに少しでも楽しく過ごしやすい治療生活が送れるようになって欲しいという気持ちがより一層強くなりました。
◎boncanコメント
座談会では、皆さんの思いを共有していく中でたくさんの課題が残されていることも浮き彫りになりましたね。きっと、多くの付き添い家族が同じように課題を感じていても、声をあげ解決に向けてアクションをとる余裕がないという場合も多いのではないでしょうか。今回まきさんが感じられたように、boncanでも課題解決に向けて動いていきたいと思っています。
質問:闘病が終わった今、付き添い経験を話すことで改めて感じたことは?
Mさんの場合
これまで自分自身も子供も大きな病気をしたことがなく、闘病の大変さや感染対策の重要さに気づく機会がありませんでした。正直、子供が病気していなかったからこのコロナ禍でも「大丈夫だろう」という勝手な思い込みで、子供の感染対策は怠っていてだろうなぁと思います。
治療薬があっても難渋な治療の病気があるということを、恥ずかしながらも子供の病気を通して知ることができました。
◎boncanコメント
子供の病気で初めて知ること、気づかされることはたくさんありますよね。決して望んで病気になったわけではなくとも、病気を経験したからこそ広がる世界もあります。そこで知った厳しさや優しさが、Mさんやお子さんにとってプラスのものに変換されるよう願っていますし、プラスに変換できるきっかけを作れるようboncanも活動を続けていきたいと思います。
かおるさんの場合
なかなか共有しづらい経験を話せる場所があることはとても大切なことだと感じました。
私たちが今回の座談会で話し合ったアイディアや共有した気持ちが、必要とする多くの方々に届いて役に立つことができたら大変うれしく思います。
入院が始まったあの日から変わらないのは「この子を守りたい」という強い気持ちです。親である以上、子供を守る力って無限大に発揮できるものなんだなと知りました。でも、火事場の馬鹿力はそういうときこそ発揮できるもので(笑)現在の息子は元気すぎて手を焼くことが多く、怒り爆発しそうになることもあります。
でも、この闘病生活で得た魔法のことば「元気でよかった」の言葉を思うと「ま、いっか。」と日常に感謝でき心穏やかな幸せな気持ちになります。とは言っても怒りますが(笑)
それでも日常こそがすべて。変わりない日々こそが幸せだと知れたことが、今の生活を何より豊かにしくれています。
◎boncanコメント
元気すぎる息子さんの今を知って、きっと多くの人が励まされていると思います!当たり前が当たり前でない状況を経験したからこそ、何気ない日常にも深い幸せを感じられているというかおるさん。病気のあるなしに関わらず、つい余裕をなくしがちな子育て中には、「元気でよかった」の言葉をぜひ繰り返し思い出したいですね。
まきさんの場合
治療開始からは4年、治療終了してからもうすぐ2年が経とうとしています。座談会を通して、改めて治療中のことや付き添いについて考えるきっかけをいただきました。たくさんの方々に助けてもらいながら過ごしてきたこと、娘はもちろん自分自身も家族もがんばってきたことをきちんと認められて、闘病中ではなく今だからこそ気づけたことも多々ありました。
そして座談会では、そうした気持ちや当時の状況を皆さんと共有でき、あの頃とはまた違う今の母としての思いも共有できたことで自分自身がとても救われ、気持ちの整理もできました。
座談会で話したことが、今の我が子の気持ちを聞いたり知ったりするきっかけともなりました。治療中と現在では気持ちも違いますし、子供の成長とともに感じることや話せることも変わっていくので、その時々の気持ちをより大切にしていきたい、していくべきだなと気づかせてもらいました。
治療は終わったものの、今でも治療歴を記入したり、お話したりする機会があるときには改めて考えたり、迷ったりすることもあります。元気になった今もフワッと複雑な気持ちになることもあります。治療中だけでなく、治療が終わった後にも気軽に話したり、相談したりできる場所も必要だと感じます。治療が終わった私たちだからできる話を、今まさに治療中の方々にもお届けできたらいいなと思いました。
◎boncanコメント
時間の経過とともに癒されることもあれば、時間が経ったからこそきづ気づかされることもありますよね。病気の治療が終わっても、わが子に元気でいてほしい気持ちは一生続きます。ときには複雑な気持ちになることもあると思いますが、そんなときに寄り添える存在となれるよう、boncanも努力していきたいと思います。
※退院後の回復の過程には個人差があります。今回のブログは闘病を経験した子供たちがたどった回復への道のりの一例として、参考にしていただけると幸いです。
次回予告
☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会 第6回-②では、参加者の方が今伝えたいことについてご紹介する予定です!
『付き添い家族の知恵袋 web座談会』の活動は
・日本コープ生活協同組合連合会様の「地域ささえあい助成」
・公益財団法人コープともしびボランティア振興財団様幹事に兵庫県の企業12社様よりこご支援いただく「やさしさにありがとうひょうごプロジェクト」にて実現に向けての資金のご提供をいただきました。