☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会 第4回-①

BONBONCANDYにじいろじかんでは、長期の付き添い入院を経験した家族を対象にweb座談会を開催しています。このブログでは、2021年11月9日に行われた「☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会 第4回」の模様を3回に分けてお届けしています。1回目となる今回のメインテーマは、「病気のことを、子供にどう話すか」についてです。

第3回目①の様子はこちらから
第3回目②の様子はこちらから
第3回目③の様子はこちらから

目次

今回の参加者

・石井 薫(かおる)さん

子供が2歳半のとき左腎明細胞肉腫になり、抗がん剤治療 ・摘出手術・放射線治療を経験
大阪市立総合医療センターに8カ月入院

・麻紀(まき)さん

子供が4歳のとき急性リンパ性白血病になり、大阪市内の病院に5カ月入院。
退院後も在宅服薬治療(抗がん剤2種類、ステロイド治療)と通院抗がん剤点滴治療(月に1回抗がん剤治療室にて)を経験

・けいこさん

BONBONCANDYにじいろじかん運営メンバー。小学2年生男児のママ。

新たな試み:闘病経験のない子供のママに参加してもらいました!

第4回目となる今回の☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会では、新たな試みを取り入れています。これまでの座談会の参加者は、全員が闘病を経験した子供のママたちでしたが、今回は、闘病を経験していない子供のママ・けいこさんに参加してもらいました。新たな視点が加わることで、闘病経験者・未経験者の双方にたくさんの気づきが得られた今回の座談会。病気の有無にかかわらず、子育て中の人に広く知ってもらいたい内容になりました!

病気のこと、子供にどう話す?

画像はイメージです。
けいこさん

この座談会は、「今まさに闘病中で、情報を必要としている人に届けたい」という思いで開催されていますよね。私はBONCANメンバーの一員ですが、病気を経験した子供の母親ではないため、壁を感じることもありました。今回は、そんな見えない壁を取り除きたいという思いで、これまでの座談会を聞いて疑問に思ったことを聞かせてもらうことにしました。

まきさん・かおるさん

よろしくお願いします!

けいこさん

今は子供の治療を終えられたお2人ですが、今、子供と病気のことを話したりしますか?闘病生活で子供は本当によくがんばったので、「そのがんばりをなかったことにはしたくない」という声がある一方で、「子供に病気のしんどさを思い出させるのが不安」とも聞きました。お2人はどうですか?

かおるさん

うちは息子が2歳半と小さいときに病気になったので、「病院が楽しかった」という記憶しかなく、つらかった副作用などのことは一切覚えていません。TSURUMIこどもホスピス(※1)をテレビで見ても「僕がいた病院だけど、何をしたかは覚えていない」と言っていました。でも、闘病中にどんなことがあったかは忘れてもらいたくないし、これからの人生を生きるうえで知ってもらわないといけないと思っています。

(※1)TSURUMI こどもホスピス:生命を脅かす病気(LTC)の子どもの学び、遊び、憩い、やってみたいと思うことを叶え、その子の「生きる」を支えるための日本初のコミュニティ型子ども向けホスピス。

息子はちょうど昨日4歳になったのですが、「小児がん」という言葉も出して、がんばって治したことを伝えています。少しずつ、わかるように伝えたいと思っていますが、どうやって伝えたらいいかは、課題でもあります。

けいこさん

パパママからだけじゃなく、私のように周囲からも息子さんに「めっちゃがんばってたよ!」って伝えたいと思うことがあります。入院中のスケジュールを見せてもらいましたが、「こんなにがんばってたの!」とびっくりしたし、「こんなにがんばれたんだから、もうどんなことも平気だね!」って思いました。周囲から伝えられることもあるかもしれないと思っていますが、それについてはどう思われますか?

かおるさん

本人がなぜ褒められているのかを理解できたらいいなと思います。
うちの息子は、保育園に入るときに小児がんが見つかったためすぐに退園して、治療後に系列の幼稚園に入園しました。幼稚園のみんなが息子の病気のことを知っていて、先生もお友達も親身になって心配してくれたけど、本人は「なんでみんな僕の名前を知ってるの?」と、状況がよくわかっていませんでした。なので、がんばったねって褒めてあげたい気持ちを、本人の自信につながる伝え方で伝えてあげたいなと思います。

まきさん

うちは、病気のことを子供とどう話すか、正直今でも手探り中です。しんどかったときのことを思い出して気持ち悪くなったり、お腹が痛くなったりすることもありますし、難しいですね。

かおるさん

病気の話題にどう触れるかは、本当に難しいですよね。

まきさん

娘本人が自分から病気の話をしたときは、とても褒めるようにしています。「あのとき、めっちゃがんばったよね!」って。でも、闘病している当時から黄色の薬が本当に苦手で、今でも黄色を見ると薬のことを思い出してしまうほどです。いろんな色が入ったカラフルなチョコを食べるときも、娘に渡す前に黄色のチョコだけ取り除いたこともありました。

「これは絶対、好きなアイテムだろうな!」というときに、あえて黄色を選ぶと「薬を思い出すから、黄色はいや」って言われたり、カラフルなラムネは黄色でも食べられるときがあったり…私自身もまだ身構えていますね。

子供の闘病を経験していない人ができること

けいこさん

お2人の話を聞いて、すごく考えさせられました。
おせっかいおばちゃんのように「あんた、がんばったよ!」って一方的に言うのではなく、子供自身が気持ちを吐き出すのを待つ、そういう心の準備をしておきたいと思いました。その子のペースに合わせることが大事ですね。

かおるさん

けいこさんが考えてくれているように、園のママ友もきっと気をつかってくれているんだと思います。こちらとしては、経験した世界が普通と違いすぎて触れていいのかわからないし、話したら話したで、ショックを与えてしまったり、悲しい気持ちにさせて泣かせてしまったり。それで、こちらから話すのも違うのかな?と思うようになりました。

けいこさん

そうですよね。そこは立ち入るのに勇気や気づかいが必要なところだと思います。
子育てをしている中では、想像はしたくないけど、病気って親子に起こり得ることですよね。子供の闘病を経験したママは、そうなったときに頼りたくなる存在だと思いました。自分の子供が病気になってから初めて頼るのではなく、今どんな状況であっても、子供の闘病を経験したママの話を知っておけば、自分の知識にもなるし、周囲の人に伝えられますよね。何に関しても、知っておくことは大切だと思います。

今、まさに治療中の人にお話を聞くのは負担が大きすぎると思うので、まきさんやかおるさんのように、伝えようとしてくれている人にお話を聞けるのはとても貴重な機会だと思います。(次回:第4回-②に続く)

ちょっとこぼれ話:大人と子供で違う、闘病生活の感じ方

まきさん

これまでの座談会は、「今治療中の方々へ届いてほしい」というところにポイントを置いていたので、当事者の視点でしか見えていない部分もあったかなと思います。

先日、この座談会の記事化を担当しているライターさんとのやりとりの中で、点滴ポンプ(※2)やロック(※3)の話になりました。私自身は入院した経験はないのですが、ライターさんは大人になってから、入院して24時間点滴という生活を経験したそうです。そこで、「同じ入院生活でも、子供と大人で感じ方に違いがあるよね」という話になりました。

(※2)点滴ポンプ:点滴が一定の速度で正確に落ちるよう管理する機械で、異常を感知するとアラームが鳴る。
(※3)ロック:点滴の管を体から一時的に外すこと。入院中はほとんどの期間、点滴につながれた状態で過ごすことになるが、お風呂のときや治療の内容によっては、ロックの状態で一時的に自由に過ごすことができる。

点滴がずっとついて回る生活は大人だとわずらわしく感じますが、子供って意外と気にしないんです。サッカーとかちゃんばらとか、点滴の存在を忘れて普通に遊んじゃうんですよね。これは、子供ってすごいなと感心する部分でもあります。点滴がなくなったときはもちろん喜ぶけど、点滴がついているからといって、そんなにヤキモキしたりもしない。

この話を機に、治療経験のある大人の話を聞くことで、子供はもちろん治療中の方々がより過ごしやすく、より笑顔になってもらえるような手段が増えるといいなと思いました。そして、点滴は治療に不可欠なツールですが、気持ちとしては子供たちが点滴から離れられる時間を増やしてあげたいと思いました。

次回予告

☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会 第4回-②では、入院中のスケジュールなどについてご紹介する予定です!

☆付き添い家族の知恵袋☆web座談会への参加者も募集中です!BONBONCANDYにじいろじかんでは、長期の付き添い入院を経験した家族を対象にweb座談会を全6回開催予定で、参加してくださる方を募集中です!ご自身の経験を共有することで、救われる誰かがいるかもしれません。開催日は柔軟に対応できますので、ぜひお気軽にお問合せください!

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『付き添い家族の知恵袋 web座談会』の活動は

・日本コープ生活協同組合連合会様の「地域ささえあい助成」

・公益財団法人コープともしびボランティア振興財団様幹事に兵庫県の企業12社様よりこご支援いただく「やさしさにありがとうひょうごプロジェクト」にて実現に向けての資金のご提供をいただきました。

次のお話はこちら(第4回-②)

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